シフクノトキ

至福、雌伏、私服。

35年前の今日のこと

1985年6月15日、国立競技場で音楽イベント“All Together Now”が催され、私も観客の一人としてその場に居合わせていた。本当は当時大好きだったオフコース目当てで取ったチケットだったけれど、トリを飾った佐野元春のステージに圧倒されてしまい、その熱に浮かされたまま翌16日、行きつけのレコード屋で『Young Bloods』の12インチシングルを買い求めた。

 

YOUNG BLOODS

YOUNG BLOODS


あの時期はBand AidUSA For Africaなどチャリティを前面に出した動きが顕著で、1ヶ月後の7月にはLive Aidもあった。だから『Young Bloods』の印税が寄付されると知った時は、こういう形で社会貢献ができることを少し誇らしく感じたりもした。
音楽に生活のほとんどを依存していた10代半ばの子どもにとって、世の中は少しずつでも良くなっていくように思える、暢気で幸せな時代だった。


あの頃と比べると現在は先行きが暗く、それぞれが身を固くして自分を守るのに精一杯な、あらゆる面での余裕がない時代に見える。自分自身こんなはずじゃなかったとぼやきながら、日々の生活に追われている。
それでも不思議なことに、そこそこ愉快に毎日を過ごしている。確かにお金は無いけれど、無いなりの愉しみはあって、少しずつ取り戻せてきた時間的な余裕をそれらに振り向けている。

聴く、読む、歩く、飲む、書く。

結局、十代の頃身についた習性に戻ってきている。ムダな金だ時間だと散々言われたけれど、どっこい時を経て貴重な資産になっている。


35年前、まさかこんな中年になるなんて想像もしていなかったけれど、当時と今がしっかり繋がっているのは実感できる。
あの頃の“あそび”が今の自分を形作っているから、子どもたちの“あそび”もなるたけ邪魔しないよう用心しよう。