シフクノトキ

至福、雌伏、私服。

追憶

あの夏の日に戻れなくとも

あれは多分高一の夏休み、海に入ったのだからお盆前のはず。 その日、Yと私は横浜ルミネのぴあステーションに始発で駆けつけ、首尾良く目当てのチケットが取れたので、いい天気だし、海でも行くか!と盛り上がったんだ。 午後一の由比ヶ浜は台風接近中で黄色…

大型スポーツイベント開幕ということで

中学に入ってすぐの宿泊研修の会場は、前のオリンピックで選手宿舎に使われた代々木青少年センター。ジメジメした薄暗い印象、あまりいい思い出ではない。 翻って国立競技場、音楽イベントで何度か入ったことがある。そして何回行ったか覚えていない武道館、…

世界が色を失くした日

あの日曜日の夕暮れ、いつものように買い物に向かうため家の前の横断歩道を渡った時、その猛烈な寂しさはやってきた。 自分の、今の、この大変さを話せる人がいないことに気付き、泣けてきて、周囲の色が失くなった気がした。 そんな事実に気づいたことに呆…

確かに私もそこにいた

先日久々に仕事上の修羅場にぶち当たり、若干放心気味のまま遅い休憩に出た。そんな状態で偶然出会したのは、割と親しくしていたSさんとDさんだった。 二人とも私と同年代、子どもも同じくらいの年齢。ひとしきりお互いの無事を交歓した後誰からともなく、「…

本を運んでくる人

実家にいた頃、我が家には本を運んでくる人が二人いた。一人は街の本屋のたらばさん、もう一人は父だった。 たらばさんは月に一度、『噂の真相』と『家庭画報』を届けてくれていた。ウワシンはいかがわしさ満載だったので最初はコソコソ読んでいたはずだが、…

横浜駅の思い出

3/3(火) 21:00の横浜駅コンコース。ポルタのエスカレーターを上がると、ジョイナス側のエスカレーターがはっきりと見えた。多分、生涯で初めての経験だ。 天井を見上げると、つい先日まで仮設だった照明が、完成している。日本のサグラダファミリアも完成直…

やっぱり、ヤンキー

私が社会人三年目で結婚・五年目で出産したことに対して、最初の業界で一番慕っていた先輩は、「だから、スズキはヤンキーなんだってば」と宣った。20年くらい前のことだ。その先輩は私の一回り以上上、都内有名私大の付属校上がり、海外留学経験有りという…

春なのに

なぜ思い出したのかというと。 今朝次男が進学で西へ旅立つ友を見送りに新幹線の駅へ行くため、私や夫より早く家を出たから。“春なのに、お別れですか?”再来月即位する次期天皇も今頃口ずさんでいるかもと思いながら、洗面所で熱唱した出勤前。この歌は何と…